料理しなくなった食事
昨日行ったカフェでの出来事。
カフェで電子書籍を読んでいるとそばをひとりの青年が通り過ぎ、かと思うと私の隣の席に座りました。
その青年はおもむろにバックパックからノートパソコンを取り出して、勉強でもするのかパソコンを広げました。
そして電源コードを取り出し、英語で「コンセントを使ってもよいですか?」と尋ねました。
コンセントは私のソファーの横にあります。
「いいですよ」と言って青年を見るとどうやら日本人のようです。
長年、アメリカに住んでいると日本人か韓国人か中国人かの見分けができるようになります。
「アー・ユー・ア・ジャパニーズ・カレッジ・スチューデント?」と聞くと「イエス」と答えました。
で、老人お得意の職務質問を日本語で始めました。
「どこから来たの?」から「どこの大学、行ってるの?」と矢継ぎ早に聞きました。
すると、秋田出身で、中央大学を1年休学してカリフォルニア大ロングビーチ校に留学していると詳しく話ししてくれました。
そしてコロナになった今、正月休みの一時帰国もできず、アパートでオンライン授業を受けていると言っていました。
「大変だねぇ」といとも心配そうに返事をし、彼が勝手に話するのを聞いていました。
なぜカリフォルニア大ロングビーチ校にしたかというと学費がカリフォルニア大の中で比較的安く、入学しやすかったからと言います。
リタイヤ前に日本から語学留学(これもちょっと変な留学ですが)に来る学生の英語学校で働いてたこともあり、興味深く彼の話を聞きました。
話の内容はプライベートなことに進み、私に「何年アメリカに住んでいるんですか?」とか「奥さんは?」とか聞いてきました。
ひと通りざっと話すと「食事はどうしてるんですか?」と聞くから「もちろんちゃんと食べてるよ」と答えると「自炊してるんですか?」と言うことらしかったんです。
彼は日系のマーケットで買う某牛丼屋の牛丼の素にハマっているんだそうな。
「吉牛のつゆダク大盛り卵かけが好きでよく食べてたんですよね」って私の知らない牛丼について語ってくれました。
「オジサン(彼は私のことをそう呼びました)はどんなもん食べてんですか?」って聞くから「そうだな、昨日はチキン炊き込みご飯食べたな」って言うと、「どこのメーカーのものですか?」って聞くじゃありませんか。
「こっちでも売ってるんですか?教えてくれたら買って作って食べるんだけどな」って言うんです。
「けっこう炊き込みご飯って面倒だよ」って言うと、「それって素を使うんじゃないんですか?」って聞き返してきました。
どうやら炊き込みご飯の素って売ってるらしいですね。
私はいつも細切れにしたチキン、野菜、コンニャク、油揚げなどを醤油やみりんなどで味付けしてご飯に炊き込んでいるんですが、今では五目ごはんの素なるもので作るのが主流になっているようです。
オジサンが昨夜作ったチキン炊き込みご飯
思わず「その素ってやつ美味しいの?」って聞いたら、彼ってキョトンとした顔して「けっこうイケると思いますよ。ぼくんちではいつもお母さんがその素使って作っていましたから」と自慢げに言いました。
そうなんだ。時代なんだ。面倒臭い調理なんかしないで食品メーカーの売る素を使って作るのが“今”の料理なんだと考えさせられました。
と、同時に「何々の素より、大学で専攻しているマーケティング、勉強しろよ」と老婆心で言いたくなりました。
結局、彼との料理談義は小1時間続きました。
パソコンの充電は十分できたでしょうが、彼の脳の充電はまったくできませんでした。
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