「最強兵器としての地政学」の読後感
「最強兵器としての地政学」(廣井厳喜)
てっきり「知性学」とばかり思ってたら、お堅い「国家・地域を単位として、空間をいかに支配するかを探究する実践的な学問」というものでした。
読めば品が良くなると思いきや、地域と戦争というものをつくづく感じました。
と、同時に、現在危機を迎えているウクライナとロシアの関係なども深く考えるようになりました。
著者、廣井厳喜は早稲田大学出の国内外の国際政治学者。
簡単に言うと、「地図における日本の位置をもうちょっと違う方向から見たら面白いんじゃないですか」と言った具合。
日本をヨーロッパにある島国、イギリスと比べると妙に似たような存在。
日本を大陸の下に置いて見ると、ヨーロッパ大陸を下に置いたイギリスそっくり。
日本とイギリスの地理的類似性
何か日本はイギリスの姿を追ってるように感じました。
国力、軍事力、経済、文化などを見てみると徐々に衰退していっているイギリスを真似ているように日本も萎えているように感じました。
アメリカにおけるアメリカの地図の中心は当たり前の如くアメリカ大陸です。
アメリカ中心の世界地図
だから日本はずっとずっと東に存在するから極東なんですね。
その点、ヨーロッパは比較的近い距離があることに気が付きます。
日本中心のメルカトル地図で描かれた世界地図に慣らされているために、見えるものが見えなくなっていることを知ります。
アメリカにとって日本の存在がいかに重要なのかもわかります。
中国のあるユーラシア大陸のすぐそばにある飛石的存在の日本、日本の存在がなければ太平洋を隔てたアメリカは中国に到達できません。
アメリカにとってイギリスが重要なのはロシアのあるユーラシア大陸に行くにはなくてはならないからです。
イギリスも日本もその存在が大変重要なことがわかります。
逆を考えると面白いです。
中国が世界進出を図りたければ、日本の存在は邪魔になります。
日本を上に、中国を下の位置に置いた地図の見方をすれば一目瞭然です。
大陸の上の日本
中国の上に日本が立ちはだかっているんです。
だからその突破口としての端っこにある沖縄が良い攻め口になるんです。
当然、台湾は太平洋進出に好都合なんで早くに中国が自由にできるようにしたいんです。
大陸国は海外へと進出したいし、海洋国(日本)は大陸へと進出したくなる理屈がわかります。
(日中戦争が良い例)
ロシアがウクライナを欲しがっているのはやはり西ヨーロッパへの進出なんでしょう。
経済力や軍事力が大きくなると自然と領土を広げたいという野心が出てくるみたいです。
そのために戦争を起こすといった単純な欲望だと思います。
世界には小国でも平和に生きている国があります。
地理上どんなところにあろうが現状を維持していく必要があると感じました。
地政学の「空間をいかに支配するか」という問題ではなく「空間をいかに維持するか」という方がとっても大切と思うのですが。
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